-
滋賀県・石部の笹倉重五郎さん
- 12.10.17 カテゴリー:コラム
-
何時もご購読頂きありがとうございます。
私の出生地は 現在の滋賀県湖南市石部です。
石部の南に雨山と言う所が有り、その麓に笹倉重五郎さんと言う人物を讃える石碑が有ります。
今から59年前の昭和28年は、石部町が村から町に成って50年、翌年の昭和29年は
小学校の設立80周年、この2つを祝う事業として,小学校を鉄筋に建て替える事に成りました。
その経費が3,000万円かかります。当時の町の予算の1年分です。
国と県から1,000万円戴けることに成りました。
残りのお金をどうしょうかと、町の人が相談しました。
そこで考えついたのが、町有林の雨山の木を伐採して、その木を売り、お金に替える事でした。
当時、雨山の山林監視員(山守)に笹倉重五郎さんと言う人がいました。
笹倉重五郎さんは山の樹木を我子のように大切に育てていました。
下草を刈ったり、枯れ枝を払ったり、傷んだ幹には菰を被せたりと大切に世話をしておられました。
その為に山林はどの木も立派に育って、美しい樹林に成っていました。
その木を伐採すると知ったら重五郎さんはどんなに怒るだろうと町の人は心配しました。
ところが、重五郎さんはその話を聞くと嬉しそうな顔をして
「石部の子供達の為に成るのなら、雨山の木を全部切っても構わない。
今まで大切に育ててきた甲斐があったというものじゃ。」
と言われました。
雨山の木は全部で1,000万円に成りました。
町の人たちの寄付も有り、昭和30年12月6日石部小学校が完成しました。
石部の町は山や川(野洲川)が有りとても長閑なところです。
西岡靖雄